事例紹介

DVなど被害者の住所と不動産登記

夫の暴力が原因で別居するにあたり、住所などの非開示請求して、新しい住所が夫にばれないような措置をして安心していた。

そして今回、自分の所有する不動産を売ろうとした矢先、不動産仲介業者に、「住所変更登記もしないと手続き上いけませんので、司法書士さんに所有権移転登記と併せて住所変更登記も依頼しますね。」と言われていました。

登記上の住所は夫と同居していた時の住所です。この不動産を私が所有していることは夫も知っているので、住所変更登記がされた後、登記簿を夫が取得したら、新しい私の住所がばれてしまうと不安になりました。どうすればいいでしょうか。

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その場合、不動産業者に司法書士の連絡先を聞いて、DV等の支援措置により住所に関する書面の閲覧制限の支援を受けている旨を伝えれば問題ありません。

 

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下「DV防止法」という)の支援措置を受けている被支援措置者である場合、この住所変更登記をすると、もちろん登記簿に載ってしまうので、配偶者に現在の住所を知られてしまう恐れがあります。

そこでこのようなケースでは、法務局では登記名義人の住所の変更登記をすることを要しないとの取扱いになっています。(平成25年12月12日付法務省民二第809号通知)

また、登記申請の附属書類として、CV防止法の支援等を受けている証明書と自分の現在の住民票をつけます。

通常、登記完了後、附属書類などは保管され、利害関係人が見ることができます。この附属書類の保管については、今回の登記申請が被支援措置者によるものであることが一見して明らかになるような措置が施され、当該被支援措置者及びその代理人以外の者は見ることができないものとされます。

この手続きを踏めば、登記簿上はCV防止法の支援等を受けている方は、従前の住所のままで、新しい所有者へ所有権移転登記が完了します。

 

今回は不動産業者がちゃんと住所変更登記入れますよと教えてくれたため、依頼者が住所変更登記が入ることに気づきましたが、売買による所有権移転登記の流れでよく話しを聞いていないとその住所変更登記もされてしまうこともあります。

DV防止法等の支援で住所の開示を制限していることの事情は、伝えずらいかと思いますが、不動産業者や司法書士にしっかり事前にお伝えしたほうがいいかと思います。

 

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